知り合いにギターを習わないほうがいい理由

レッスンに来られている方の中には、「友達が教えてあげると言っているんですけど、やっぱりちゃんと教室で習おうと思って来ました」という方もいらっしゃいます。

けっこう多いみたいなんですね、ギターを始めたいという思いを周囲の人たちに言うと、「じゃあ俺が教えてあげるよ」みたいな人が現れるケース。
「お金とかいらないから」とか。

見ず知らずの教室に行くよりも、知っている人に習えるのなら安心な気がするかもしれませんね。
さらに、お金もかからないとなると、尚更・・・

 

だけど、はっきり言いましょう。
それ、あまりおすすめしません!

ただ仮に、とても信頼できる友達とか、以前から尊敬していた人とか、ギタリストとして憧れている人だとか、特にそういう理由がある場合はちょっとだけ別なんですけど。
(そういう場合でも、100%おすすめするわけではないんですが…)

とにかく、ちょっと知っている人とか、友達の紹介とかで誰かに教えてもらうというのなら、お金を払ってでも教室に通ったほうがいいです。

理由はいろいろあります。

まず第一の理由は、教室として教えている人は教えるプロなんですね。
そうじゃなくて普通にギターが上手い人というのは、どんなに演奏がうまくても、教えることに関しては素人です。
自分が当たり前のように弾ける簡単な曲なんかでも、初心者の人は当然全く弾けません。それを初心者のペースに合わせて教えるということは実はとても難しく、正直、イライラしてしまいます。それをイライラせずに教えるということは、やはり「プロの講師」として自覚を持った人でないと難しいものです。

でも本当の理由はここからです。
ここからは、少しややこしい話というか、裏話っぽくなっていきます。

そういうふうに「教えてあげるよ」といって近づいて来た人とは、なかなか距離感が難しくなっていく場合が多いです。

まず何よりも、そうやって習い始めたはいいものの、やっぱり辞めたくなった、という時。
いや、「私は本気で習いたいから、そう簡単に辞めないよ」という人もいるでしょう。
でも正直に言います。ギターをやろうと思ってギターを買ったはいいものの、おそらく半数以上の人が続かずに辞めていきます。
主な理由は「思ったより難しかった」というものだと思います。

有料の教室だったら、たとえばコース料金などを払っている場合はその分損をしちゃいますけど、どちらにせよ解約すれば済むことです。
(やましんギターレッスンの場合は1回単位の予約、当日払いなので、わざわざ「辞めます」と言わなくても、次を予約しなければいいだけですが…あ、予約の無断キャンセルだけはやめてくださいね!)

ともかく、教室だったら辞めるのも割と簡単
だけど、知り合いの場合はなかなか難しいですよね。なかなか言い出しづらいし、行くのをやめたとしても、その後会った時に気まずいし…
もちろん、平気で「ごめん、やめるわ!」と言えるような間柄だったら問題ないんですけどね。

ただ、辞めるとなると、急に怒りだすような人も中にはいるから気をつけましょうね、いや、気をつけようもないんだけど。

というのは・・・
ここから話はグレーゾーンへ突入していきます。
「教えてあげるよ」と近づいてくる人の中には、けっこう自己顕示欲が強い人がいたりします。
じゃないと、「教えてあげる」なんて近寄ってこないですからね。とにかく「教えたがり屋さん」がけっこういます。
普段はそんな様子じゃない人でも、教え始めるとどんどんそういう部分が表に出てきたりします。
楽器に限らない話かもしれないですが、比較的できる人が少ないギターという楽器となると、やはりそういったものが強くなりがちです。
で、そういう人にとって、せっかく教えてあげているのに、急に「辞めます」と言われることは屈辱で、ついイラッときてしまうことがあるんですね。
「悩んだあげくに辞めるって言ったら、態度が急変してボロカスに言われた」なんていう話も聞いたことがあります。そして後日たまたま会った時には完全無視、とか…

 

自己顕示欲の強い人というのは、どうしても上から物を言うようになります。教える側ですから、少々は上からになるのも無理はないんですが…
それがだんだんエスカレートしていく場合も多いです。

たとえば、他の人にちょっとでも教わったら激怒するとか、「こういう音楽を聞いているようではだめだ」とか、「○○のライブなんかを観てちゃだめだ」とか、そういうところまで関与してきたり。
昔ながらの「師弟関係」みたいな世界ですね、その人のことを尊敬していて、本気で弟子入りするつもりで習いたいなら別にいいんですよ。
だけどそんなつもりでもないのに、そういうふうにいろいろと締め付けが厳しくなってくる、口うるさくなってくるというのも実際にある話です。
LINEとかメッセンジャーとかでしつこく長文を送ってくる、ってのもよくある話ですね。
たとえば「弾いてみた動画」とかをアップしたら、毎回あーだこーだと書いてくる、とか…。

そしてしまいには、プライベートな領域にまで口を出してくるとか。

 

ちょっと話がそれますが、こういうことって、ギターを習い始めの初心者の場合だけじゃなくて、すでに音楽活動をしている人にもありがちなことなんですよ。
やたら「アドバイス」をしてきたがる人っていうのがいるんですね。

ライブの後に、感想…というよりは「もっとこうしたほうがいい」とか「〇〇が足りないからもっとこういう練習をしないとだめだ」「□□の勉強をしなさい」とか。上から目線でズケズケ言ってくる人。
本人はアドバイスのつもりだし、確かにそれが参考になることもあるんだけど・・・

ただこういうことは、信頼している先輩であったり、アドバイスをもらえて嬉しいと感じる人である場合のみ、受け入れたほうがいいですね。あとはプロの人とか。
でも実際のところプロの人はあんまりそんなことしないので、ライブでプロと一緒になった時とか、憧れの先輩がライブに来ていた時などは、こちらからアドバイスをお願いするといいですね。

頼んでもいないのに上から目線でズケズケ言ってくる人の話は、まともに聞かずに適当にやり過ごし、その場を早く離れることをお勧めします(笑)たとえ「君のためを思って」などと言っていたとしても(ってか、そういうこと言う人が一番怪しいw)

 

話を戻しましょう。
ともかく、そんな感じの人は、ギター初心者とか、これから習いたいという人を見つけると、「教えてあげようか?」とか言って近づいて来たりするわけですね。
それで、頼んでもいないのに、ギターを始めるなら〇〇をしなきゃだめだ、〇〇してはだめだ、〇〇のギターを買え、〇〇の音楽を聞け、とかいろいろ(頼んでもいないのに)言ってくることがあります。
長文のLINE送ってきたりしたら完全に要注意パターンです。

もっと書きたいこと、注意喚起したいこともいろいろあるんですが、これ以上書くとそういうタイプの人から攻撃を喰らう可能性もあるんで、今回はここまでにしておきます(汗)

とにかくそういうことを防ぐためにも、真剣に習いたいんであれば、お金を取って教えている専門家の元を訪ねるのが、やっぱりいいと思うんですよね。
もちろん専門家、プロの講師にもいろんな人がいるんで、有料なら絶対大丈夫っていうわけではないんですが、やはり有料ということは、講師には責任があり、そして変な言い方ですが、同時にビジネスとしての割り切りがあります。それは余計なところまで干渉しない、ということです。

さらに変な考え方かもしれませんが、安全策としては、気楽に始められて、そして辞めやすいところを選ぶというのもポイントです。

「そんなのは生温い!気合を入れて、厳しくそして辞めづらい、茨の道へ進むんだ!」という人はそういう所を選んでもらえばいいんですけどね。
でも最初は安全・安心優先のほうが、余裕を持って習えると思います。そしてそのほうが上達します
人はある程度安全が確保されている状態のほうが、能力が発揮されるというのは、脳科学とかでも言われていることらしいですよ。(ちなみに、逆に極限状態で集中できる、というのはプロレベルの人たちの場合です。)

ということで、このぐらいにしておきます。
もちろん決断するのはご自身ですから、知り合いに習いたいんだというなら、それでいいと思います。
でもなんとなく、あの人に習っていいのかなぁ…?なんて、少しでも迷っている人がいらっしゃったら、今回の話が参考になれば幸いです。