「コピー」と「カバー」、練習にオススメなのは…

「カバー曲」とか「カバーアルバム」なんていう言葉を聞いたことがあるかと思います。

他の人によって既に発表している曲を演奏することを「カバーする」というふうにいいます。

 

過去の有名なヒット曲、スタンダード曲を、現代の歌手が現代風に「カバー」することもあれば、今話題になっている曲を別のミュージシャンがライブなどで「カバー」することもあります。

そんなふうに人の曲を演奏した楽曲を集めたアルバムが「カバーアルバム」ですね。

 

それとよく似た言葉で、「コピー」というのがあります。

人の曲を演奏するときに、「誰々の曲のコピーをする」というような言い方をします。

通常、「コピー」という場合は、アレンジを変えず、原曲そのままの形を保って演奏するときに多く使われる表現です。

 

いっぽう、「カバー」というのは、その演奏者なりのアレンジをして演奏します。

たとえば、ジャズシンガーがビートルズの曲をジャズ風にアレンジして歌う、なんていうのもカバーですね。

 

そんなふうに、プロミュージシャンが他者の曲、スタンダードナンバーなどを演奏するときは、そのほとんどが「カバー」ということになるわけです。

やはりそのミュージシャンなりの解釈、個性を売りにするわけですからね。

もちろんそれはプロに限りませんが。

 

コピーのほうはというと、これはできる限り原曲に忠実に演奏することが目的になってきます。

その曲の音源をなんどもなんども繰り返し聞いて、そのミュージシャンが弾いている通りのギターやピアノの音を聞き取り、その通り再現すること。

歌もできる限りその人の歌い回しの個性を再現すること、それを目的とします。

 

誰でも楽器を始めた頃、バンドをやり始めた頃というのは、好きなアーティストの曲をやりたいと思いますよね。

「あんなふうに弾けたらいいな」とか、「この曲ってどうやって弾いているのかな?」と研究したりします。

それが、「コピー」ですね。

 

ただ、その原曲っていうのは当然、プロ中のプロが弾いているわけですから、なかなか簡単ではなく、そうやすやすと再現できるものではないんですが・・・(汗)

 

昔はあまり情報がなかったため、ひたすら耳で繰り返し聞いて再現するしかなかったんですが・・・

(その結果間違った弾き方のままコピーしてた、なんていう話もよくあります)

・・・今ではネットでその弾き方を解説してくれる動画があったり、楽譜があったりもするので、ある程度コピーはしやすい時代になりましたね。

 

ともかくそんなふうに、原曲通りにコピーをする、ということは、ある意味「プロの技を盗む」ということでもあります。

なので、この「コピー」というのは、演奏を上達していくプロセスとして、大いにおすすめしたいものなんです!

 

とにかく原曲通り、そのミュージシャンが弾いている通り、ひたすら真似をすることです。

不思議なことに、「独自のアレンジをする能力」「アドリブの能力」というようなものも、このコピーをさんざんした人じゃないと、なかなか身につかないようです。

 

カバーというのはつまり独自のアレンジを施したものですから、コピーをしっかりと経験しておかないと、ちゃんとしたカバーもできない、ということですね。

 

いきなり、初心者の方が完全にコピーを、というわけにはいきませんが、ある程度の基本が身についたら、音源を繰り返し繰り返し聞いて、自分の耳でコピーしてみることをおすすめします!

 

 

最後に一つ、老婆心から苦言を呈するとして・・・

最近気になるのは、曲のコードがすぐ検索できるサイトでコードを調べ、ただそのコードを鳴らすだけで「カバー」とも「コピー」とも取れないような演奏をしている人が多いこと。

もちろんそれも自分が楽しむならいんですけど、こればっかりやってると上手くならないし、発展しないんですよね…

上達したい人、自分なりのアレンジができるようになりたい人は、まず「コピー」をきちんとやってみてはどうでしょうか?